20周年のパールリング

先の10月に息子さんが二十歳になったそう。

県外から沖縄に移り住み、仕事、育児にと頑張ってきた20年。

その節目に自分用のリングを作りたい。

 

「友達に言ったら、『なんであなたのを作るの?』って笑われたんですけどね(笑)」

ちなみに息子さんには印鑑(実印&認印)を作ってあげたそうです。

変な契約交わしそうになった時に親の顔を思い出すようにと(笑)

 

デザインイメージは参考になる画像をいろいろと保存してくださってました。

リングへの思いの強さがうかがえます。

「いちばんイメージに近いのはこれなんです。」

細身のリングに石を一粒留めたシンプルなデザイン。

彼女の華奢な指にとても似合いそうです。

 

リングを作るにあたり沖縄の素材を使いたいとの強いご希望がありました。

真っ先に思い浮かんだのは石垣島川平湾の黒真珠でした。

彼女自身も実際に訪ね、そこで採れた黒真珠を見たことがあるそう。

つややかな黒真珠はとても美しかったけど、もう少し先の歳を重ねた時に身に着けたいなと思い、他に何かいい素材はありますかとのことでした。

「あ、真珠といえば慶良間で養殖しているというのを聞いたことがあります。」

以前慶良間で真珠を養殖しているということを聞いたことがあったのを思い出しました。

デザインイメージにあうサイズの真珠はベビーパールと言われる小粒のもの。

希望はホワイト系の3mm位の小さなパールに決まりました。

 

それに近いものがあればと、まずは直接生産している方に連絡を取ってみました。

いつでもお越しくださいとのお返事をいただき、泊港から高速船で座間味島へ。

50分ほどで到着です。

 

10時に到着して13時過ぎまでパールをじっくりと選ばせていただきました。

黒蝶貝から生まれたパールは色も形もさまざま。

孔雀の羽根のような深いグリーンから、ブルーグレー、アイスブルー、アイボリーにブラウン、ゴールド。

 

いいテリを持つドングリのような珠や、

珠同士がつながったアヒルみたいな双子など。

ケシパールならではの個性的でかわいい珠たちを前に大興奮でした。

 

現地で選び持ち帰ってきた真珠の中からリングに使う珠を彼女自身に選んでいただきました。

それぞれのかわいらしい形・色合いに

「あーこの子もかわいいし、この子の色も、、、」

選ぶ時間は悩ましくも楽しい時間です。

 

選んだのはシルバー系の色をした小さな珠でした。

まんまるではなく卵をまるっこくしたようなかわいらしい形。

小粒ながらもしっかりとテリが。

真ん中あたりにちょこんとツノがあります。

「はじめはホワイト系と思ってたけど、このシルバーの色がとてもいい!この子にします!」

K10の淡いイエローゴールドにも合いそうです。
 

 

ようやく仕上がりお渡しの日を迎えました。

生産者に譲っていただいた母貝の黒蝶貝も一緒に添えて。

 

パールのかわいいツノは台座の底面にし、パールを半分覆うようなデザインで他のリングとの重ねづけができるようなデザイン。

仕上げはサラッとした着け心地のマット仕上げにしました。

リングの内側には息子さんの20歳の誕生日「2018.10. 8 20th 」と刻印を刻んでます。

お母さんになって20年目、母業20周年のアニバーサリーリング。

ちいさなパールリングが彼女の手元に収まる様子を見てるとこちらまで胸が熱くなりました。

お母さんおつかれさまでした。20周年おめでとうございます。

親子のこれからが真珠の輝きのようにやわらかな光に包まれたものになりますように。